しろくまハウス10号

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奇跡の妊娠! 「ダビド王家」の再興!

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- 全世界の報道機関への公式声明 2007年8月14日 -

 リトル・ペブルさんが再興する「ダビド王家」の女性の一人、バロネス(女男爵)のクララ・ヨゼファ・メネンデス阿部由美は2007年8月5日、リトル・ペブルさんの体内にある「聖なる光り輝く棒」によって、双子の女の子を妊娠しました。肉体的な父親はいません。

 クララ・ヨゼファ・メネンデス阿部由美は卵巣機能不全のため生理がなく、重症のアトピーであることから、妊娠できない体であること、また7ヶ月で胎児が成熟し生まれることによって、これが「奇跡の妊娠」であることを証明します。これらの双子の女の子「マリア・ガブリエラ」「アンナリア」は、コルベ・マリー阿部哲朗の養子になることを神が定めています。

 クララ・ヨゼファ・メネンデス阿部由美が妊娠した子供は、男性の精子によるのではなく、オーストラリアの監獄にいるリトル・ペブルさんの中にある「聖なる輝く棒」から 聖霊によって運ばれた「命の種」によるものです。子供の遺伝子を調べればわかるはずですが、この場合、父親はいなく、母親の遺伝子のみで子供が生まれる「単為生殖」と呼ばれるものです。すでに10年ほど前から、世界中でこの奇跡がおこっています。

「父親は誰か?」と問われると、あえて言うなら「リトル・ペブルさん」となるのでしょうが、「単為生殖」であるため、生まれてくる子供は「金髪で青い目」ではなく、母親そっくりの子が生まれてきます。母親が白人なら白人の子が、日本人なら日本人の子が生まれてきます。


クララ・ヨゼファ・メネンデス阿部由美の告白録
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by clara_1004 | 2008-09-30 20:55

「33年」(20)ルイスと唐人屋敷での再会

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 唐人屋敷に、ルイスが来た。商人の格好で現れた。カタリナは、大喜びである。もう夢中でしゃべっている。ルイスと最後に別れた時から今までのことを話しに話して、今晩もおこなわれる「林一家のシスト塾」のことまで、一気に、長時間、ルイスには話すいとまも与えず、一方的にしゃべりまくった。

 ルイスは聞いている。頭を二分割して聞いている、半分はカタリナの話しを追っている。そして、半分は・・・。この唐人屋敷にあがってくるまでにルイスは見た。まっ昼間からにぎわっているふもとの町を。つまり、遊女と寝る店、ばくちをうつ場所、飲み屋、見せ物小屋、芝居小屋、それらが軒を連ねて並び、どこも大にぎわいだった。遊んでいる若者達は、ならずものとしか見えなかった。林一家だって皆、休みの日にはこうして女を買い、酒を飲み、ばくちを打つ連中にまちがいない。

おお、この勝利は大きい。難攻不落の城を一人のちっちゃな子どものような女がいともたやすく落としてしまったようなものだ。おお、神よ、あなたは一体ここにどんな計画をもってらっしゃるのですか。と、半分は背筋がぞくぞくするほどの戦慄をおぼえながら神と対話している。

カタリナ 
「ルイス。私うれしいの。神様ありがとう。私は、なんにもやっていないのに。神様大好き。」


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2008年5月18日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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by clara_1004 | 2008-09-30 15:59

「33年」(19)シスト塾

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カタリナ
「あのー。それで、私・・・。この野菜、あの母と子に持って行っていいのかなあ。」

林のおかみ 
「もちろんだよ。ありがとうね。先生の奥さん。」

 林の親分は本当に林一家の全員にくら替えを命令した。命令したが、どんな神様か良くわからない。皆に、どんな神様ですかと聞かれて困ってしまった。精錬の部門で、高麗式の炉づくりをはじめているシストのもとに林の親分がさっそくやってきた。シストを見つけて声をかける。

林の親分 
「シスト先生よ。仕事中すまねー。ちょっと相談してえんだが。」

シスト  
「ああ、林の親分。何ですか。」

林の親分 
「おれたち、林一家は全員そろって仏様からシスト先生と先生の奥さんの神様にくら替えすることに決めたんだ。それで、シスト先生の神様についてシスト先生から教わりてーんだが、どうだい、教えてくれねーか。」

シスト  
「えー。何でまた。」

シストは驚いてしまった。何が起こったのか見当もつかない。しかし、林の親分がカタリナとのやり取りをはなしてくれて納得した。

シスト  
「わかりました。林の親分。僕が知っていることは、全力を尽くして全部教えます。じきにルイスという友達がたずねてくれるはずです。彼は、何でも知ってるから、彼が来たときに、何でも教えてくれますよ。洗礼もさずけてくれます。今度彼が来たとき、皆が洗礼をさずけてもらえるように、今日から毎晩教えましょう。いいですか。」

林の親分は、まだ洗礼とか何もわからず、ちんぷんかんぷんの話しだが、とにかく、彼は本当の神様について、真剣に聞きたいのだ。

林の親分 
「洗礼ってえのは、何かわかんねーがよー。当面、みんな毎晩、酒飲みに行かねーで、女買いに行かねーで、ばくち打ちに行かねーで、シスト先生の塾に出ろって言えばいいんだな。」

こうして、ルイスが来たら洗礼を林一家全員で受けようとやる気まんまんの皆で、シスト先生を向かえ、その日から「林一家のシスト塾」が、はじまった。


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2008年5月16日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

http://lphakobune.web.fc2.com/33nen_019.html
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by clara_1004 | 2008-09-30 14:55

「33年」(18)本当の神様

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 翌日のお葬式である。妻子がとりすがって泣いているが、その妻子よりもさらに大泣きしているのがカタリナだ。死んだ堀子は本当に若い。

カタリナ 
「あーん。あーん。なんでこんなに若いのに死んじゃうの。あーん。あーん。奥さんと子どもはどうなっちゃうの。」。

 カタリナの胸は同情で張り裂けんばかりだ、泣けて泣けてしょうがない。とにかく豊かな同情心がカタリナの特徴だ。死んだ若い堀子の顔を見て、シストとカタリナはここに居る人たちの中で二人だけが負っている強烈な体験がフラッシュバックする。祖国を守るために命を散らした若者達の何千という顔。耳と鼻をそがれた顔だ。あどけないほど若い顔が多かった。あの若者たちの父や母の悲しみはどんなに深いだろうか。また、自分たちと同じくらいの若者達も。残された妻たちはどんなになげいているだろうか。子どもたちは、どんなにさびしいことだろうか。

目の前で、「あなた」「お父ちゃん」と遺体にすがって泣く妻子の姿に、シストとカタリナは同情で、気が狂わんばかりになってしまっている。人間が持つ愛には、いろいろな種類の愛がある。その中で一番神の持つ愛に近いのは同情の愛である。しかし、ただ同情を感じるだけにとどまるなら、それが何になるだろう。シストとカタリナは、実際的な人間、行動的な人間、思ったら言い、考えたら行動する人間だ。その自然的土台の上に、イエズスの教えが今や加わっているのだ。「これらの最も小さな者の一人にしたことは、私、イエズスにしたのである。」という教えだ。

シスト  
「カタリナ。ヨゼフ様に先立たれて悲しむマリア様とイエズスに対してしてあげていると思って何かしてあげようね。役人から渡された当面の生活費があるから、それを使おうよ。」

カタリナがシストの手を握り締める。

カタリナ 
「うん。シストありがとう。私にまかせといて。」

 翌日、野菜売りがやってくると、カタリナは野菜をどっさり買った。半分はあの母と子のためだ。それをかかえてさっそく母と子をなぐさめに出発する。まず、向かうのは林の親分の家だ。赤ちゃんルイスをおんぶって、両腕いっぱいに野菜をかかえてうれしそうに歩いていく。

カタリナ
「こんにちは。」

林の親分 
「おお、あがれー。おまえー。先生の奥さんだぞー。」

 林の親分がいた。おかみも奥から出てくる。

林のおかみ
「まあ。先生の奥さん。たくさん野菜買ったね。どうするの。」

カタリナ 
「昨日のお母さんと子どもの家にもっていくの。親分が面倒見てあげるって聞いたけど、私にも何かやらせて。」

林の親分 
「そりゃーうれしいが・・・。先生とこの方が今のところ、ここの誰よりも貧乏だぜ。何も持ってねーじゃねーか。今からそろえなきゃなんねーものばかりだろうによ。いいのかよ。」

カタリナ
「シストと私はどうしてもこうしたいのよ。お願い。」

林の親分 
「ちょっと、そこに野菜を置いて、まあ、上がれ、上がれよ。話しを聞きてえからよ。」

 カタリナは、言われるままに上にあがり、親分と向き合う。

林のおかみ
「お茶いれるからね。赤ちゃんを座布団の上におろしなよ。」

 おかみは、お茶の仕度にかかる。

林の親分 
「来たばっかりで、昨日はじめて会ったばかりの親子だろ。おまけに、自分たちは家財をこれっぽっちも持って無いし。乳飲み子抱えて、これからものすごく物入りだ。何でそこまでやるんだい。ふつう、そこまでやんねーよ。」

林の親分は、とってもまじめになって、問いただす。カタリナは、小さな女の子のように無邪気に普通のことのように答える。

カタリナ
「私の神様がね、あなたが人にしてもらいたいと思うことを人にしてあげなさいって教えてくれているの。」

林の親分
「ほー。人にしてあげなさいって教えているわけか。自分が人にしてほしくないことを人にするな。とは、ちょっと違うねー。」

カタリナ
「そしてね。あなたが人にしてあげたことは、神様にしてあげたことだ、って教えてくれてるの。」

林の親分
「ほー。人間が神様に何かしてあげられるってのかい。」

カタリナ
「そうなの。それで、シストと私はね。あのかわいそうな人に何かしてあげたいの。」

林の親分
「なるほどねー。でも先生の奥さん。もしかして忘れてやしねーかい。あの親子は、日本人だ。あんたらとあんたたちの国をひでーめにあわしている国の人間だよ。いいのかい。」

 林の親分は、カタリナを試し、カタリナの神様を試すための質問をぶっつけてきた。しかし、カタリナは気づいていない。まったく変わらず、同じように無邪気に答える。

カタリナ
「私の神様はね。あなたの敵を愛しなさい。迫害する人々のために、祈り、祝福しなさいって教えてくれたのよ。」

もう林の親分は、カタリナに向かって何も言わない。突然、林の親分は、林のおかみに向かってしゃべりだす。

林の親分
「おまえ、先生と先生の奥さんの神様は、本当の神様なんだ。おれは、たった今、くら替えするぜ。お前も、くら替えしろい。」

 これには、カタリナもぶったまげた。林のおかみが目をまんまるくして、おったっている。

林の親分
「俺は、ちょっと堀子みんなのところにへ行ってくるからな。あいつらにもくら替えさせる。くら替えだー。くら替えだー。」

 林の親分は、おかみにこういい残して外に出て行く。カタリナは、あっけに取られている。林のおかみは、カタリナの前にお茶を置いて、ぼそっと言う。

林のおかみ
「鎚親はさー。かわいがってる若いのが、30にもならずに次から次へおっちんじまって、葬式ばかりだしてるだろう。本当に救ってくれる神様が欲しいんだよ。」


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2008年5月15日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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by clara_1004 | 2008-09-30 11:13

「33年」(17)鎚親と堀子

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 日本の鉱山には、鎚親制度というものがあった。やくざの親分、子分の関係の原型のようなものだ。親分は、鎚親で子分は堀子と呼ばれた。鎚親の命令は絶対である。そのかわり、鎚親は、本当の親代わりとして堀子の面倒を何から何までみた。鉱山は、治外法権である。ならずもの、おたずねもの、くいつめたもの、かけおちしたものが逃げ込んで、誰かの鎚親のもとに、わらじを脱げば、その鎚親の堀子になって生きていける。

しかし、鉱夫である堀子のほとんどは、30才にもならずに、じん肺などで死んでしまう。堀子は、一般に結婚しないで生涯を終える。ただし、妻子連れで逃げ込んだ者や、駆け落ちして逃げ込んだ者は、妻子がいる。

 シストとカタリナは、林の親分の家で食事をしている。


林の親分
「明日、堀子の一人の葬式があるが、来ねーか。シスト先生。」

シスト
「行きます。」

林のおかみ
「駆け落ちしてきた人だったから、妻と子どもを残していっちゃったんだよ。」

カタリナ
「まあ、かわいそう。」


 林の親分とおかみはため息をつく。


林のおかみ
「こんなに、みんな早く死んで、夢も希望も無いよ。」


林の親分 
「妻子を残して死ぬんじゃ、うかばれねーよなあ。」

 シストとカタリナは、気の毒そうに黙って聞いている。


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2008年5月15日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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by clara_1004 | 2008-09-29 21:04

リトル・ペブルの泉

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 2006年8月22日、「聖母の汚れなき御心」の一級大祝日の日、マリア様は、ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力とマリー・マドレーヌ杉浦律子に御出現され、秋田県湯沢市雄勝地区「寺沢」の「奇跡の泉」を、「リトル・ペブルの泉」と名づけるように指示なさいました。それは、「今のリトル・ペブルの苦しみゆえに与えられるからです」とマリア様はおっしゃっておられます。

 この日、マリア様はマリー・マドレーヌに、泉の湧く場所を掘るように指示され、マリー・マドレーヌとジャン・マリー神父は素手で草をむしり、小さな穴を掘りました。今日(2006年8月27日)の時点で、まだ泉は湧いていませんが、マリア様は泉が湧く時、ジャン・マリー神父とミッシェル・マリー・フランソワに知らせることを約束なさいました。

 この8月22日、マリア様は特別な新しいタイトル「全ての恵みの仲介者、あがないの共贖者の聖母」として御出現されました。マリア様はそのお姿をミッシェル・マリー・フランソワとマリー・マドレーヌに幻視させ、その御像をつくるように指示なさいました。

 今、現在「秋田の聖母の第2出現」、つまり「寺沢の御出現」について明らかになっていることは次のとおりです。

■ 「リトル・ペブルの泉」は、今のリトル・ペブルの苦しみゆえに与えられる。

■ 「リトル・ペブルの泉」は、今までのものと違い、肉体の病気と精神病の癒しだけでなく、霊魂の癒し、霊魂の照らし、そしてリトル・ペブルを支持し、彼のために働く者たちには、そのために必要な注付恩寵(ちゅうふおんちょう)が与えられる。

■ マリア様は「寺沢の御出現」において「『全ての恵みの仲介者』『あがないの共贖者』の聖母」のタイトルで御出現され、教皇ベネディクト16世がこの二つのドグマを宣言することを支援される。と同時に、リトル・ペブルの教皇職の正統性を宣言される。

■ 寺沢近辺に建てられる大聖堂は「寺沢の殉教者たち」に奉献される。やはり寺沢近辺に建てられる同宿院は「聖母の浄配」であるリトル・ペブルに奉献される。すなわち「リトル・ペブル、三重の契約の預言者」男子同宿院、「リトル・ペブル、聖母の浄配」女子同宿院である。

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by clara_1004 | 2008-09-29 20:10

「33年」(16)石見銀山 林の親分と林のおかみとの出会い

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石見銀山に着いた。役人が、一家を連れて行ったのは唐人屋敷である。シストとカタリナは、家が立派なので、驚いている。わずかな自分たちの荷物をその家に運びこみ、役人から家の中の説明を受ける。

役人
「シスト先生、奥さん。ここで少し待ってて下さい。林のおかみさんを連れてきますから。」

シスト
「あー、ハイ。」

シストもカタリナも何も分からずとまどっている。二人ともお腹がすいている。カタリナは、赤ちゃんルイスをあやして話しかけながら外に出る。林のおかみがやってきて大声をだす。

林のおかみ
「あんた。高麗から連れてこられたんだって。」

カタリナ
「あっ はい。」

林のおかみ
「遠くね。海の向こうから良くここまで耐えてこれたね。本当にね。そんなさー。赤ん坊抱えてさ、大変だろう。私に任せとき。困ったことがあったら何でもいうんだよ。」

こう言いながら林のおかみは、大きな手でカタリナの背中をバンとたたいた。


カタリナ
「キャー」

カタリナは赤ちゃんを抱いたまま前へつんのめった。

林のおかみ
「あー、そうそう。ここはゴロツキ、札付き、何でもいるから、周りの連中から何かされたら、すぐに、わたしんとこに言いにくるんだよ。」

シストも外にでてきて、林のおかみの話を聞いている。

林のおかみ
「高麗から来た先生だね。奥さんと一緒にうちに来な。しばらく、勝手がわかるまで、うちで食事を一緒に食べるんだよ。さあ、いいから、いっしょにおいで。」

二人は訳が分からないまま、あいさつも自己紹介もせずに赤ちゃんルイスを連れて、林のおかみのうしろをついて歩いていく。林のおかみがすごい大声をあげる。 

林のおかみ
「あんたー。」

林の親分と子分たちは昼休みを終えたところだ。親分は子分たちにどなっている。

林の親分
「おーい。お前ら。何をぐずぐずしているんだ。油売ってねーで、早く持ち場に戻れ、こら。」

ふざけながら仕事場にもどろうとする子分たちがいる。まだ、口にキセルをくわえている子分が一人いる。林のおかみがそれを見つけて、なんと走っていく。とびかからんばかりだ。

林のおかみ
「何やってんだい。キセルなんかふかしてさ。早く消しなよ。」

どん。とその子分の頭を林のおかみがぶんなぐったので。キセルが口から離れて地面に落ちた。向こうでは子分同士が、けんかしている。

林の親分
「お前ら。また、やっているな。何してやがんだ。こら。」

子分達は、皆、若い。活気にあふれている。そして、林の親分とおかみは迫力にあふれている。今、林の親分とおかみは一緒になって、シストとカタリナの方へくる。

林の親分
「ほおー。赤ん坊連れかー。」

いきなり林の親分は赤ちゃんルイスの顔をのぞきこむ。赤ちゃんルイスが、ニコニコする。

林の親分
「おっ。俺に笑ったぞ。かわいいなあ。おい、お前。この赤ん坊、すごくかわいくないか。」

林のおかみものぞきこむ。また、赤ちゃんルイスがニコニコする。

林のおかみ
「ああ、たまんない。こんな、かわいい赤ちゃん見たことないよ。先生の奥さん。ちょっと抱かせてよ。」

人見知りが、はじまる前の赤ちゃんだ。天使のような笑顔。夢見るような表情を誰にでも見せてくれる。林のおかみは、赤ちゃんルイスを抱っこする。

シスト
「この子が、特別すごくかわいいっていうことは決してありません。」

シストが大まじめに、こういいはじめたので林の親分とおかみはキョトンとする。

シスト
「でも高麗の赤ちゃんは、世界一かわいいです。」

一瞬、沈黙の時があったが、林の親分が大声で笑いだす。

林の親分
「ワッハッハッハッ。こりゃーいい。こりゃー気にいった。先生、俺は実は、中国人だ。林 太郎衛門って言うんだが、『はやし』っていうのはな、『りん』だよ、『りん』。」

こうしてたちまちひょんなことからシストは林の親分に気に入られてしまった。国が負けても、捕虜になっても、祖国に対する誇りを堂々と口にする。しかし、自分のことは誇らないこの若者は、なんという魂の持ち主だと林の親分は驚いたのだ。多くの若者の面倒を見てきたが、こんな若者は、はじめてだと思ったのだ。

林の親分
「先生、先生の奥さん。鉱山では、役人なんか何の力も持っていねーんだよ。鎚親っていうのが、力をもってて、みんなに言うことを聞かせているんだ。その鎚親達の中でも一番実力があるのが、この俺だ。だから、役人から先生たちのこと頼まれてるのさ。」

林夫妻とシスト一家は、林の親分の家に向かって歩いていく。


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2008年5月12日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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by clara_1004 | 2008-09-29 12:20

「33年」(15)関門海峡を渡る

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関門海峡の手前の宿屋である。明日は、船に乗る。夜である。赤ちゃんルイスが泣きはじめた。カタリナがおっぱいをやるために起き、子守り歌を歌いだす。もちろん、母からならった子守り歌である。カタリナの声は、日本人の声とは違い、少しハスキーな、少し低めの声だ。シストも目をさまし、カタリナの子守り歌に聞き入っている。満腹した赤ちゃんルイスが、また、寝る。

シスト
「カタリナ。祖国が、なつかしいね。」

カタリナ
「うん。」

シスト
「帰りたいね。」

カタリナ
「うん。私、ずっと左手に、私達が渡ってきた海があったでしょ。その向こうに高麗があると思うと、歩きながら、ずっと考えたことがあるの。」

シスト
「なにを。」

カタリナ
「モーゼの時のように、この海がわかれて、歩いて祖国に帰れたらなあって。」

シスト
「僕も、海の向こうの祖国のことばかり考えて歩いていたよ。この何日かずっとね。明日、船に乗ったら、その船が風に吹かれて高麗まで流されてくれないかなあなんて考えた。でも高麗には、また侵略軍がいて、たくさんの捕虜を捕まえて連行しているんだもの、まだ、祖国には帰れない。」

シストとカタリナは、侵略軍にふみにじられている祖国、苦しみにあえぐ祖国のことを考えている。そして、二人は泣く。しばらくしてカタリナが口を開く。

カタリナ
「シスト、この子は祖国に帰れるかしら。私達が帰れないとしても、この子には祖国を見て欲しいわ。」

シスト
「わからない。でもカタリナ。希望しようよ。夢をもとうよ。この子か、この子の子か、とにかく僕たちの血をつぐものが、いつか祖国を見ることを。ね。」

カタリナ
「うん。きっとかなうわよね。」


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2008年5月12日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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by clara_1004 | 2008-09-29 10:51

「33年」(14)1594年 春が来て

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1594年 春が来た。そして、石見銀山から役人が一人やって来た。シストとカタリナを迎えに来たのだ。家の主人が、セミナリヨのパードレの元へ知らせに行き、家の奥さんは旅のしたくをカタリナと一緒にはじめた。大きい子が赤ちゃんルイスのおもりをし、小さい子は泣いている。別れるのが嫌で泣いている。

出発は、明朝だ。月岳山から連行された時と違い、今回は準備のゆとりがある。お別れの夕食を作るために、奥さんが台所に行き、カタリナは畑に行く。「お父さんのにんにく」をほりあげて持っていくのだ。土のついた手で涙を拭いたのだろう、しばらくして戻ってきたカタリナの顔は泥で真っ黒だ。シストが悲しい表情でその顔を見て、やさしく微笑む。

シスト
「カタリナ。顔が泥まみれだよ。いっぱい泣いたのかい。」

カタリナ
「うん。いっぱい泣いちゃったの。ここのみんなと別れるのがつらいし・・・。お父さんお母さんのこと思い出しちゃったし・・・。」

シスト
「役人が、石見銀山には今、高麗人はいないっていっていたね。僕たちは、これで祖国からも同胞からも今度こそ切り離されてしまうね。」

若く、感情豊かな情熱家のシストは、子どものように素直に悲しみを表す。祖国や同胞により強く愛着するのはいつも男の方だ。女に比べて環境の変化への適応能力も低い。同胞が誰もいないところへ行くという事実に打ちのめされているシストはうなだれて涙をこぼす。二人は、心ゆくまで悲しみ、泣く。

一夜明けて、シストとカタリナはセミナリヨに朝ミサに行った。去年と同じように洗礼の準備にはいった高麗人たちが、皆、四旬節に入って朝ミサに来ている。大好きなシストとカタリナと赤ちゃんルイスが、今日立ち去るということを聞いて他の高麗人たちも皆やはり来てくれている。パードレの教理の説明は、急遽、赤ちゃんイエズスを連れたヨゼフ様とマリア様がエジプトに逃げる話しにきりかわった。

マリア様とヨゼフ様がしのんだ苦しみに、自分たちの苦しみを重ねあわせなさい。マリア様、ヨゼフ様に似たものになれたことを喜びなさい。感謝しなさいとパードレは話した。シストがささやく。

シスト
「そうだよね。苦しみとはずかしめ。この十字架、大好き。だもんね。」

カタリナ
「うん。この十字架大好きっね。」

ミサ後、同胞との悲しい別れをすまし、パードレとお別れする。パードレは、強く、二人を強くハッグし、そしてキッスしてくれた。そして、赤ちゃんルイスのおでこに親指で十字をしるし、抱き上げてキッスだ。

パードレ
「シスト、カタリナ、今、ルイスは旅に出ているけれど、ここに帰ってきたら、必ず石見銀山に行かせるからね。あなたたち、一家の信仰のお世話を今後もずっとルイスがたずねていって続けるから安心しなさい。」

シスト
「ああ、良かった。ルイスと時々会えるなら安心だ。」

パードレ
「なにしろ、ルイスは、この赤ちゃんの代父だもの。義務がありますからね。さあ、もう一度祝福します。ひざまずきなさい。」

パードレの祝福をうけ、一家は家に帰る。食事をしていたら、昨日の役人が来た。馬を引いている。馬にあの大きな鉄鍋、お父さんのにんにくの袋、三人の身の回りのわずかな品がのせられる。

シストとカタリナの代父、代母。つまり、信仰においてのお父さんお母さんであり、しかも、実生活でも親のようにかわいがってくれた家の主人と奥さんとのお別れ、小さい弟や妹のような子どもたちともお別れだ。お互いにもう二度と会えないとわかっている。お互いに情がうつっているから、この別れは本当の家族との別れと変わらないつらさだ。シストとカタリナは、役人に連れられて、こうして、また長い旅に出る。


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2008年5月12日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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by clara_1004 | 2008-09-28 20:55

「33年」(13)1593年のクリスマス 深夜ミサ

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1593年のクリスマスの深夜ミサ。赤ちゃんルイスを抱いたカタリナを思いやって、ルイスがシストとカタリナを、セミナリヨの聖堂の玄関、つまり屋根の下に連れてきてくれた。

今晩もまた、大勢の高麗人たちが洗礼を授けられる。長い長いミサ。セミナリヨの10代の子たちの歌声が響く。開け放たれている聖堂の扉からローソクがゆれる祭壇が見える。外は、冬の夜。そして、光る星。玄関のひさしの下で若い夫婦が小さい乳飲み子を抱いているのだ。何というクリスマス。馬小屋に呼ばれた貧しい羊飼いたちは、今晩は、高麗人捕虜たちだ。カタリナがささやく。

カタリナ
「シスト。私、去年のクリスマスとぜんぜん感じが違うの。マリア様が、どんな気持ちだったか、とってもよく分かるわ。」

シスト
「そうか。ぼくも、ヨゼフ様がどんな気持ちだったか、とってもよく分かる。」

二人は赤ちゃんルイスを見つめる。

カタリナ
「パードレが、いつまでも謙遜で、ちっちゃいままでいなさいねって言ったのおぼえている? シスト。」

シスト
「謙遜で、ちっちゃいままでいることを教えてくれるために、イエズスは赤ちゃんになってくれたんだね。」

カタリナ
「こんなに、わたしに頼りきってこの子が生きているみたいに、私も神様に頼りきっていつも生きていきたい。」


シスト
「そして、何があっても頼りきって、安らかにまかせきっていたいね。ぼくも。」

涙のクリスマスだった最初のクリスマス、二人は苦しめとはずかしめを、花婿と同じ運命に預かることを喜ぶ花嫁の愛で受け入れ、愛し、望み、喜ぶことが魂の戦いの勝利であることを神の照らしによってつかんだ。

二回目のクリスマスは、苦しめとはずかしめによって、謙遜でちっちゃいものとして生きぬく基礎を与えられた。連行以来の日々を、神は「幼な子路線」として完成させる恵みの日として下さった。

シストとカタリナは、この日、強烈な確信をだき、ちっちゃい子らしく、かわいらしく、生き、話し、行動することを今後、生涯はずかしがることなく続ける。

実はこれから、有馬を去れば、シストは先生、カタリナは先生の奥さんと呼ばれる日々が待っているのだ。二人は、それを知らない。しかし、神はその環境の中でも二人が、ごう慢にならず、逆にますます自らすすんで謙遜になるように、すばらしい配慮をもって二人を導いてくださっているのだ。


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2008年5月12日 UP
著者 ミッシェル・マリー・フランソワ奥田力
(C) 箱舟の聖母社

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by clara_1004 | 2008-09-28 13:49

おめだじの知らねごどいっぺ書いである。白熊、ネコ…etcがリトル・ペブルの「ヨゼフパパファンクラブ」やってんだ。全部標準語だ。いがべ!
by clara_1004
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